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#私の介護

伊藤寛之

カリオモンズコーヒーロースター代表

Hiroyuki Ito
Kariomons coffee roaster Orner

伊藤寛之

介護とは、
誰かを思う時間と行為。

伊藤さんは、2009年にカリオモンズコーヒーロースターを開業。長崎県内に2店舗を展開し、コーヒー豆の産地である中南米にも、毎年足を運んでいる。ショップカードやドリップパックに、障がい当事者の作品を採用するなど、地元出身のアーティストに作品発表の場も提供している。そんな伊藤さんは、コーヒーと介護の関係についてどんな風に考えるだろう。「コーヒーを飲む行為も、淹れる行為も、介護になり得る可能性はありますよね。なぜなら、そこには人との関りが生じるから。自分で淹れるよりも、人に淹れてもらったコーヒーの方が美味しいのは、プロである僕らも同じです。自分で淹れたものには『もうちょっとこうすればよかったかな』と評価が生じてしまうんです。バイアス抜きに飲めるのは、やっぱり人に淹れてもらったコーヒーなんですよね。きっと誰かに淹れてもらう行為自体に、喜びを感じるんでしょう」。

街中が浮足立つクリスマス。プレゼントを選んだり、贈ったり、贈られたりするその時間を、伊藤さんはいいなと思う。 「その人のことを考えながら、自分の時間を使う。右利きか左利きかが分かれば、取っ手の向きを変えて渡すだとか、コーヒーを淹れる行為にも、短いなりにそれがあります。相手に対して興味を持つ時間が生まれるんですね。介護って、コーヒーを淹れる時と同じで、自分ではない誰かを思う時間や行為ではないでしょうか」。

伊藤さんは、6人兄弟の賑やかな家庭でのびのび育ち、大人になってコーヒーの魅力に目覚めた。地域や中南米の人たちとのふれあいを重ねながら10年が経った頃、冷静に周りを見られるようになったという。「僕は『相互依存』という言葉が好きなんです。持ちつ持たれつやお互いさまにも似ています。自分がやったことが誰かの助けになれば嬉しい。でもその分、自分のことも助けて欲しいと僕は思う。だから将来、介護される立場になった時には、お世話をしてくれる人たちにどんなリターンができるのか、そう考えるでしょうね」。

相手にフィットするコーヒーを淹れる、プレゼントを選ぶ、困っている人の手助けをする。一つひとつの行為は違っても、伊藤さんの人生の基軸には、いつも相手とのつながりを考える時間がある。

※バイアス抜きに…先入観なしに

伊藤寛之/1986年、長崎県雲仙市生まれ。2009年、移動販売という形でカリオモンズコーヒーを開業。半年後、時津町に焙煎所兼店舗を、2016年に2店舗目を大村市にオープン。2020年、大村店を長崎市樺島町に移転オープン。4児の父。

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