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#私の介護

加藤さくら

プロジェクトコーディネーター

Sakura Kato
Project Coordinator

加藤さくら

介護とは、
たいしたことじゃない。

加藤さんの次女、真心(まこ)さんは福山型筋ジストロフィーという疾患がある。加藤さんにとって介護は生活の一部。「大それたことでもなんでもない」と言う。「例えば、駅のホームでどの電車に乗ればいいか分からず、困っている外国の方がいたら助けたいと思いますよね。介護って大小はあるにしても、生活の中にたくさんある困りごとに手を差し伸べる、ただそれだけのことだと思うんです」。

ポジティブな印象の加藤さんも、真心さんの病気が分かった当初は、絶望が立ちはだかった。それを生んだ要因が、 知らない・分からない 。「もし同じ疾患を持っている人が、楽しそうに生きている姿を知っていれば、そこまでの絶望はなかったはずです。その頃の私は、障害=不幸という価値観しかありませんでした。偏見や差別の感情を、絶望に変換していたんだと思います」。

絶望せず人生を生きる人が、一人でも増えたらいいな。想いを実現するための手段として、加藤さんは様々なプロジェクトを展開している。商品開発で携わった、誰か一人の課題を起点に、プロダクト・サービスを開発する「041(オールフォーワン)」もそのひとつ。インクルーシブデザインの発想を取り入れたプロジェクトは、ユナイテッドアローズとのコラボレーション。障害者ひとりひとりの声にこたえる6アイテムを制作した。「娘が障害福祉のお世話になるようになって感じたのが、機能性ばかりが重視され、その人にとってのワクワクやおしゃれ心が無視されている違和感でした。生活のいろどりが薄れていく。それはすごく寂しい。でも課題を福祉業界だけで解決しようとしても、クリエイティビティは出ません。別のところと手をつなげば、本当にいいものができることを、この活動で実感しました」。

真心さんのワクワクを起点に開発されたのは、車椅子でも着脱がしやすいスカートや、スタイにもなるエプロンなど。スカートは加藤さんも愛用している。「娘がスタイを着けていると、かわいいねって褒めてもらえます。本人の自己肯定感も爆上がりです。高齢の方にとっても多分それは同じで、認知能力が低下したとしても、食事の時にタオルやダサい花柄のよだれかけを私は着けたいと思いません。かわいそうだと思われる服装ではいたくない。『それおもしろいね、かわいいね、きれいだね』って、ポジティブなワードに包まれていたいです。将来、私が介護される立場になった時、私の好みや大切にしているセンスを知った上で接してくれる、それが当たり前の世の中になっていたらいいなと思います」。

加藤さくら/長野県出身、茨城県牛久市育ち。パートナー、2人の娘と4人家族。一般社団法人 障害攻略課理事、株式会社デジリハ広報の他、一般社団法人mogmog engineの共同代表。食支援が必要な子どもと家族のコミュニティ『スナック都ろ美』を運営。

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